キミの選んだ、正解

その仕事を選択した理由、今の人生を選択している理由、キミの幸せはなんですか?ということをインタビューして記事にしています。誰かの生きるヒントになれば、嬉しい。

Vol.1 自分にはこう見えてるんだって、どうしても人に伝えたかったから


 

新企画「キミの選んだ、正解」の第一弾はプロカメラマン中村涼磨さん。

大阪市内のナイトクラブでの撮影を毎週何本もレギュラーで抱え、

SHOWROOMとコラボするなど、幅広いジャンルで活躍中。

 

一時はストレスにより、逆流性食道炎になる経験も。

そんな一筋縄では行かない過酷な職業であるフリーカメラマン。

 

なぜ、カメラマンなのか、なぜ、フリーなのか。

 

聞きたいことは、つきません。

 

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目次

 

 

一生心に残るものを

 

ある日突然、あなたの人生について聞かせて!

なんて言われても、正直な話、困る。

 

普通はね。

 

けれど、そんな私の心配はよそに、

たくさん話してくれました。

 

1時間弱のインタビューがあっという間に感じるくらい。

 

涼磨さんが辿ってきた道に、少しだけ、触れてみる。

 

話している時の涼磨さんの目は、終始、

私の“好きな目”だった。

 

そして、いきなり質問。

 

“どうしてカメラマンになったの?”

単刀直入に。

 

ちょっと間を空けてから照れ笑いをしながら

話し始めてくれた涼磨さん。

 

「昔、友達の誕生日にサプライズでムービーを作ったことがあって。

で、それにパッケージとかつけてプレゼントしたのね。

 

それを渡した時の友達の顔がめちゃくちゃ嬉しそうで。

その顔を見てたら俺まで嬉しくて幸せな気持ちになったのね。

 

俺の作品が誰かの記憶に一生残るなんて

すごく幸せやん!って思って。

 

そこからかな。

事あるごとに友達のムービーを作ってはプレゼント。

 

この時は全然お金なんてもらってないよ。

完全に趣味の領域だったかな。

 

で、気づいたらカメラ買ってた(笑)

買った、ていうか、いつの間にか、持ってた。

 

いや、買ったんだけど。

そのくらい自然な流れでカメラは買った。」

 

“あずさ”という名前をつけて今も愛用中だそう。

俺の女らしい。

 

さておき。

そんなことを趣味で続けているうちに

 

“映像作ってよ”

っていう声をかけてもらったんだって。

 

すごいことだと思う。

 

ダンスイベントの撮影の依頼。

 

そこで初めて“仕事”としてカメラを回した涼磨さん。

 

「いや、もうさ。」

 

さっきまで淡々と話していた涼磨さんの目が

急にギラギラしだした。

 

「こんな嬉しいことないで。

 

自分が生み出した“自分の作品”に対して

お金が支払われる感覚。

しかもそれで誰かが喜んでくれる感覚。

 

たまらんかった。

これや、これで生きていきたい。」

 

そう思ったんだって。

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もう、決めてたし

 

ダンスイベントの撮影で

初めて“ギャラ”をもらったのが大学4年の春。

 

周りは就活一色。

 

キャンパスに行くと、みんなスーツ。

・・・怖かった。

 

俺は、あいつらとは違う。

 

春学期を終えて、2016年8月30日。

 

「退学届け、出してん。」

 

昨日、お好み焼き食べてきたで。

くらいのノリで話し出した涼磨さん。

 

あと半年で大卒資格取れるのに。

っていう私の凝り固まった思考がよぎる。

 

失礼を承知で聞いてみました。

 

「カメラやって行く上で学歴なんか関係ないし。

無駄な勉強(俺にとっては)している暇があるんやったら

カメラの技術学びたい。奨学金もあったし。」

 

おっしゃる通り。

 

おっしゃる通りだけど、すごくない?

何かを始めるのも一つの勇気だけど

何かを辞めるのって、もっとすごい勇気がいると思う。

 

どんな精神力もってるんだこの人。

 

友達とかに相談しなかったの?

という私の質問に対して、

 

「いや、してないな。もう、決めてたし。

自分の中で答えが出ていたから、誰にも言わずにスパッとやめた」

 

かっけえええええ。

すげえよこの人おおおお。

 

口が半開きになる私。

 

そこで、「あ。」と続ける涼磨さん。

 

「そのまま大学続けてても留年しそうやったっていうのも、ある。

単位的にも卒業は、無理やった(笑)」

 

 

・・・ナ ン ダ ソ レ。

 

自力で生きたい

 

かっこよさ半減(小声)していた私ですが、

一つの疑問があったのでぶつけてみました。

 

どうしてフリーなの?という疑問。

 

カメラマンがしたいならフリーじゃなくて

どこかの映像制作会社でもよかったんじゃないの?

 

「俺、オフィスとかに毎日同じ時間に行かなあかんのとか無理。」

 

っていう理由もなくはないけどさ。

 

「自分で仕事もぎ取って、自分で撮影して、納品。

そうやって仕事してる時って、大袈裟かもしれないけれど、

 

生きてる。

 

って感じがするんよな。」

 

「俺は誰かに雇われて、自分の時間を売ったりするんじゃなくて、

自力で生きていきたいなって思ってる。俺は、ね。」

 

留年のくだり(心の中で)笑っていてゴメンナサイ。

 

「でもさ、この世に楽な仕事なんてないよ。

俺は好きなことを仕事にしているけれど、本当に撮りたい映像を撮れているかって言われると、全然そんなことないし。

不安とストレスで逆流性食道炎にもなった。

おかげでタバコの本数めっちゃ減ったわ(笑)。」

 

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冗談を混じえながら話してくれる涼磨さんだったけど。

彼の発言の一つ一つがズシリと重かった。

私の心に沁みてきました。

 

きっと、口先だけの綺麗事でも絵空事でもなくて。

彼が実際に行動して、

経験してきたからこそ言えることなんだろうな、と。

 

微々たる幸せ

 

そんな涼磨さんに、最後の質問。

 

何をしている時が一番幸せ?

一番難しい質問かな、と思っていたけれど、即答。

 

「仕事とは関係なく、自分の好きな映像を作っているときかな。」

 

“雑草”の映像とか

“Summer”の映像とか

 

そう語る涼磨さんの目はキラッキラ。

私にはわかり得ない、彼だけの世界があるんだろうな。

いつか、頭の中の世界を映像化してくる日が来るでしょう。

 

楽しみでなりません。

 

「でもさ、日常の微々たる幸せも大事やで。」

 

食べたご飯が美味しかったとか

仕事終わりのビール、とかさ。

 

日常に転がっている小さな幸せに敏感に生きること。

微々たる幸福を拾い集めて行くこと。

 

幸せに生きて行く一番の近道かもしれない。

 

そんな小さな幸せに敏感な涼磨さんだからこそ、

 

自分で決めた“カメラマン”という道を自分の色に染めて

たまには周りの人たちも巻き込みながら

素敵に生きているんだろうな。

 

これが、

中村涼磨の選んだ、正解。